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2020年10月10日 (土)

日本再生! 最終回(6)

7、「利他の精神」とは

  ・ この稲盛氏の経営哲学の原典は、仏教のお経の中の「六度万行(ろくどまんぎょう)」=「六波羅蜜」と言う言葉にある。これは大乗仏教の求道者が実践すべき徳目のことを言い、「悟り」を開く道筋を示すものとされている。

    ※ 六波羅蜜

        ① 布施(ふせ)=まずはじめに相手のことを考えること

        ② 持戒(じかい)=約束を果たすこと

        ③ 忍辱(にんじょく)=怒りの心をコントロールすること

        ④ 精進(しょうじん)=陰日向無くコツコツと実践すること

        ⑤ 禅定(ぜんじょう)=振り返ること

        ⑥ 智慧(ちえ)=自分の未来は自分で切り開くこと

    すなわち、仏教では、その修行を通じて我執(自利)が取り除かれるとき、周囲の人々やあらゆる生き物に対して慈悲心が開花し、自分と他人の対立・区別がなくなり、他者の幸福は自分の往復、他者の不幸は自分の不幸と言う自他一致の心理が生まれるそうだ。

  ・ 我々凡人にはとてもこの修行を実践することは至難であるが、それを常に心がけることはできる筈である。特に、国の指導者たる政治家、補佐する官僚群、企業をひいては経済界を引っ張るトップ層、権力の監視者たるマスメディアに就く人物は、この心構えを常に持つことが義務であるかもしれない。この「利他の精神」が欠如しているのが今の日本の姿なのかもしれない。

8、日本再生への道筋に対する一考察

  ・ 過去の日本の歴史を振り返ると、古代の天皇就位に関する血族間の争い、平安時代の貴族間の権力争い、武士台頭時代の主導権争い、天下国家を見据える血みどろの争い、近代国家形成に伴う対外戦争の争い等、ほぼすべてが「利己欲」から発している。さらにその時代時代を画する偉大な英雄も、例えば古代の推古天皇、藤原不比等、平清盛、後醍醐天皇、織田信長が存在するが、みなすべてその基底に、自分の息子のため、自分の一族のため、自らの権力獲得のためという「利己欲」が存在する。人間の本性は、仏教がいみじくも喝破したように「利己心」なのかもしれない。

  ・ しかし英雄が英雄たる所以は、強烈な自己欲の発揮によりその他の有象無象の小さな利己欲を徹底的に破壊し尽くすことにある。その世界では、たくさんの小さな利己欲達成のための忖度などは成り立たず、独裁者以外は利他の精神の様相を呈するようになる。これを「歴史の揺り戻し」と称し、歴史の座標軸を修正することになるのであると考えられる。

  ・ ただ、現代のように、集団指導体制の枠組みが完成し、分業が徹底すると、独裁的権力が登場する余地は極めて少なくなっている。そうすると、時代の趨勢が「利他の精神」から遠ざかり「利己心」が支配する時代が長く続き、そこに安生しているのが現代なのかもしれない。

  ・ しかし歴史は繰り返すという。独裁的権力の登場による揺り戻しは必ず起こるというのが歴史の必然とすれば、世界の処々にその傾向が表れているのも事実である。アメリカのトランプ大統領をはじめブラジル、フィリピンその他の小国にその動きがみられ、共産主義を脱したはずのロシアのプーチン、中国の習近平も加わり、世界に独裁的権力の台頭が、ナショナリズムの高揚と相俟って、顕著になっている。

  ・ 幸か不幸か日本にはその兆候はまだ見られない。この現状の「閉塞感「無力感」打破のために、果たしてそういう人物の登場を願うべきなのかどうか---------。

 

 

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コメント

 大変な理論ですね。
  うなずけるところもあれば、?と言うところもあります。
 ただ、新しい総理も相変わらずまともに答弁しな現状を観るにつけ、賛成したくもなってきます。

投稿: ちゃちゃ | 2020年10月10日 (土) 11時24分

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